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GOTTINGENの成立過程(1)

情報・読み物 GOTTINGENの成立過程(1) 2004/10/30
最初から私はごねた

1964年の初めゲッチンゲンのJungen Theaterの若い支配人Gunther KleinがL'Ecluseにやってきて私に出演を依頼した。私は断った。よりによってドイツに行って歌うなんて、何を好んで。Guntherは諦めない。100席ある劇場のこと、私を待っている学生たちのことを熱心に話す。
「Gottingenで私のことを知ってる人が何人おりまんのでっか?」「学生たちは貴方のことをみんな知っています」「私はドイツになんか行きたくありましぇん」
にもかかわらず、ともかく明日まで考えさせてほしいと提案した。その翌日私は唐突に何を思ったかGuntherにウイと言ってしまった。条件は黒のグランドピアノを用意すること。Guntherは了解した。公演は7月と決まった。
「Il etait un piano noir...」P.162

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ナントが「ナントの勅令1598年」で有名なようにGottingenは「ゲッチンゲン7教授事件1837年」で有名な大学都市。ドイツなんて、と思ったのは、癒しがたい戦争の思い出があるからだろう。
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1964年7月私はGottingenに向かった。一人で。そして、この仕事を請けたことに既に腹立たしさを感じていた。列車を降りたところでGunther Kleinが出迎えてくれた。いつもの情熱的な態度で。車で劇場に行く前に、この季節のこの街は素晴らしいから、街の要所を案内したいと言った。案内されながら、私は目を閉じていた。何も目にしたくなんかなかった。今夜の出演なのだから直接劇場に行って頂戴と、お願いした。
Jungen Theaterの小さな舞台には二つの銀の燭台が飾られた巨大な古いアップライトのピアノが鎮座していた。
私はいつものように61cmの高さにしたイスに座ってこの巨大なピアノを前にすると、ほとんど会場も何も見えなかった。彼と二人でこの重いピアノを少し動かそうと努力したけれど、うまくいかない。これでは聴衆が見えないし、こちらも見てもらえない。
Guntherは努力して歯医者用のイスを探し、特別に自分の手でペンキまで塗ったのだと言った。そして、彼がL'Ecluseにやって来たとき私はあそこではアップライトピアノで弾いていたではないかと指摘した。
「そう。でも配置が違うでしょう。それにピアノは契約の条件だったでしょう。黒のセミグランドピアノ。守っていただかなければ」
そして言った。こんなピアノで歌うなんてことは私には出来ません。Guntherはごめんなさいと謝った。しかしこのピアノで我慢してほしいと言った。イヤです!Non!私は会場の一列目に降りて行って座った。パリで約束した黒のコンサート用のピアノでなければ、ここを動きませんと、繰り返し繰り返しGuntherに言った。これは気まぐれではない。私にとっては、この何も見えなくなってしまう巨大ピアノで弾くことは、絶対的不可能なのだ。
Guntherが私を見た。私の目には彼が少しづつ小さくなっていくように見えた。彼も降りてきて私の隣に座った。そしてGottingenでは昨夜からピアノ運搬業者がストに突入していることを告げた。
「ピアノ運搬業者のストですって?」
吃驚仰天天地転倒。さっきまでの怒りが悲しみに変わった。
  「Il etait un piano noir...」P.165 & P.166
  

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