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空間と同化するということ

出典:LES COULISSES DE MA MEMOIRE(P.75&76)
著者:Paulette Coquatrix 出版社:Grasset社 1984年刊
翻訳:Bruxelles
Olympia

まだとても小さいときに、音楽ホールについて、ある知識を得た。子供のとき、兄たちが、どこかよく覚えていないが、L'Empire,だと思う、Raquel Mellerの絶頂期のころ、彼女の歌を聞きに連れて行ってくれた。
彼女は「La Violetera」を歌う時、小さな籠に花束を入れて、それを客席に投げながら歌った。運命だと思ったのだが、そのひとつを私は手にした。礼儀としてプレゼントをもらったお礼をいいたいと思い、兄たちに楽屋に連れて行ってほしいといった。兄たちは渋っていたけれど、私があまり熱心にいい続けるので、根負けして幕間に連れて行ってくれた。その部屋で私は一人の女性が、座って静かに編み物をしているのを見た。私はショックを受けた。ついさっきこの人は顔いっぱいに照明をあててあんなに輝いていたのに、同じ人が私の母と同じように編み物をしているなんて!!びっくり仰天だった。スター歌手は編み物をしてはいけない。もちろん私はその思いを口には出さず、プレゼントのお礼を言い、その人に素晴らしかったといい、礼儀正しいお辞儀をして、そのあと兄たちを出口まで引っ張って行った。私は”素”というものを見た。そのときショーとは大部分、魅惑的なイリュージョンであるということを学んだのだった。

今日私はもはや、こんなことで別に驚いたりはしない。
Barbaraは夕方ステイジがある時、朝早々とやってくる。劇場の雰囲気を自分に同化させるためだ。それはすでにL'Ecluseでもしていた。まだほんの10人ほどのファンしかいない頃からだ。L'Olympiaでも同じようにしただけだ。きっとPantinでも、舞台の間中何日もそれを続けたと思う。
それに、オランピアのときはまず、一番近い目の前のホテルに部屋を取った。そして起きるとすぐに通りを横切ってやってきて、楽屋の空気を吸う。そして座って考えながら、手は編み物をするのだ。集中するために、観衆と向き合う準備をしながら、何キロメートルにも及ぶ編み物をし続ける。彼女が編み物をするのを見て、編み物をするという行為が、平凡な行為だと決して思わなくなった。手を動かすという行為には、精神的な不安や焦りやアンバランスと戦おうという意思が入りやすいのだと思う。ある種の御祓いのような機能が隠れている。

一般的に言えることがもうひとつある。歌手が音楽ホールに,特にL'Olympiaに出演するときは、自宅にいる気持ちになって、慣れた空間にいて、いつもの動作をして寛ぐ必要があるということ。身体的にも精神的にも空間に違和感を覚えることなく、浸透感を持っている必要がある。
たとえば、Charles Aznavourは非常にオランピアに溶け込んでいて、そこで人に会う約束もする。出て行って会ったりしない。Yves Montandは夕方電話をしてきて「ちょっと新しいことを試したいので明日稽古にいきたい」と時々言ってきた。Brunoはそういう態度に好意的だった。PatriciaもJean-Michelも私もBrunoの考えを踏襲してきた。オランピア劇場がすし詰めのときは、歌手に対して非常に神経を使う。私たちは歌手を元気づけるようにサポートする。劇場はいはば、歌手の自宅の地続きの別館であるべきだと思う。歌手がそこでいつもの動作、いつもの習慣、日常の癖を本能的にさらけ出していれば、よかったという思いがする。つまり自然体だ。劇場と歌手が雰囲気的に浸透しあっていればいい。オランピアは出演歌手のものであっていい。つまりそれが当然なのだと思う。

.................

シャンソンファンなら誰でもBruno Coquatrixの名前は知っているだろう。この本の著者のPaulette Coquatrixはその妻。文中に出てくるPatriciaは娘。Jean-MicelはJean-Michel Borisのことで、彼はPauletteの末の弟の息子である。一族は2001年8月にオランピアを売却している。その際長年音楽支配人だったJean-Michel BorisをBrunoの娘のPatriciaが更迭して、不評を買った。この更迭に怒りの声を上げたのはJohnny Hallydayだった。近々L'Olympia劇場のことを少し書いてみたい。

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