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ナント成立過程(4)

情報・読み物 ナント成立過程(4) 2004/10/06
ナントに雨が...

「ある夜、ゲイムが長引いたことがあって。帰ろうと立ち上がった瞬間、下半身に鋭い痛みを感じて、動けなくなったんだ」どこに行く当てもなく、その夜はPaul氏の所に泊まったらしい。
朝、医者に行くよう言われても拒んだ。ただ痛みが激しく続いていて、どうしようもなく、そのまま病院に運ばれた。荷物や所持品はどこに置いてあるのかと尋ねたら、顔を歪めて笑って、身につけているものが全財産だと言った。3週間後に息を引き取った。病名は脳脊髄腫瘍。死に至る苦痛を和らげるモルヒネさえも拒絶した。
「Paulさん、お話し、有難うございました!」

埋葬に必要なお金を取りにパリに戻った。キャバレーL'Amiralの支配人のPabloが借金に応じてくれた。言葉を交わすほど親しくしていたわけでもなかったPabloが。有難うPablo。
それから、自宅のあるVitruveに急いだ。弟のClaudeと鉢合わせ。父の死を聞いていて、一緒にナントに行きたがった。迷った。どうしても行きたいとClaudeが言う。二人でナントに急いだ。

ナントは雨。空のすべてが曇って、そのうす暗がりのすべてから雨が降り注いでいた。
墓地ではClaudeとふたり肩を並べて歩いた。一人の婦人がすすり泣いている。私の腕を取り話しかけてきた。
あの男の人達は誰なんですか?ポーカーのお仲間ですか?
墓地がぬかるんで、よくわからない間に足元を取られた。
父は共同墓地に埋められた。献花は一輪もない。

弟と私は、すぐにパリに戻った。帰りの列車の中で、ポケットの奥に手を入れ、ずっとべっ甲のメガネに触れていた。哀れな形見。人の手のぬくもりを求めるように、私は傷のついたメガネを指先で撫で回していた。

..........小雨降る     ナントの街.......
..........沈む心に     暗い空..........

........それは一年前   同じような朝.......
........初めて駅に   降りたったとき...
....ナント見知らぬ街の   見知らぬ雨に....
.....怯えるように   後退りしていた...

モンパルナスの駅で、強い衝撃を受けたままの弟が、Vitruveへ帰りたくないと言った。
私は帰った。Vitruveへ。一人ぽっちで。ゆっくりと。取り乱したままで。
そして母の前に立った。
労わってあげたかった。出来るだけあらん限りの優しさをこめて、母に、話さなければと思った。お母さん。  (つづく)

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