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ナント成立過程 (2)

情報・読み物 ナント成立過程 (2) 2004/10/04
埋葬手続き...

「気分落ち着きましたか?」シスターが声をかけた。「なんと言っても、お別れは、とてもつらいものですから」
「誰かこの人に会いに来た人はいませんか?」
「いますよ。シスターJeanneにお尋ねください」
シスターJeanneは何も話さない。シスターは死者に敬意を持っている。この方の秘密を守るとお約束しました。突然思い出した。父は昔から、シスター達に優しく接し好意を示していたことを。私はシスターJeanneに微笑んだ。
「わかりました。有難うございました」
「Paulさんの住所をお渡ししましょう。この方はお友達で最期を看取られましたから」
「その前にお聞きしたいのですが..埋葬の事とか..」

再び廊下に出て、階段を降りて小さな事務所に行く。メガネをかけた老婦人が一人いた。名前を言う。その人は棺が楽しげに列を作って並んだカタログを取り出した。点線をたどると、そこに価格が記入してある。
「お決まりですか?どれになさいます?」
「一番高くないものを...」
「材質がよくありませんよ」
「持ち合わせが、少ししか、都合がつきません」気持ちを働かせずに言った。老婦人は思いやりのある態度をコロリと消し去り、棺の営業ウーマンに早変わりした。材質がどうの、耐久性がどうのと、くどくどセールストークを並べた。私は口を閉じ表情も閉じた。老婦人は私のバッグに目をやり、私の手を見た。手首に巻いている銀のブレスレットを露骨に見つめる。そしてため息をつき、神学の立場から人を咎める目つきを露にして、その後諦めたようだった。
埋葬は翌日8時と決まった。
「その時間に葬列は霊安室を出て、教会に向かいます」
「教会に?でも父は..。わかりました。その時刻に参ります」必要充分なお金が無かった。この老婦人にお願いして支払いを翌日まで猶予してもらった。

受付に戻る。父は時計だけを残していった。たった一つ、私の見覚えの無い。身分証明書が必要だということで、引渡しを拒まれた。Non,に対して「結構です。わかりました」と答えた。ナントのあの病院の死者遺留品ケイスには、今もなを父の残した大きな腕時計がある筈だ。(つづく)

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