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Zanが象徴するもの

さりげなくではあるが、Barbaraは「Il etait un piano noir...」でZanについて触れている。
BarbaraにとってZanとは、生涯大切に保持し続けたかった父との唯一の肯定的思い出に繋がる「味覚」だからだ。

1939年9月3日第二次世界大戦が勃発し、父Jacques Serfは出征する。残された母Esterは父方の大叔母Jeanne Spireに長男長女を託す。三人はPoitiersに逃げJeanne Spireの知人である医師の邸宅に寄宿する。Barbaraにとって、これが後に何度も繰り返される戦時下での逃避行の最初のものとなった。
ある日大きな驚きであったのだが、軍人の父が学校の門まで子供達に会いに来てくれた。共に過ごす時間は2時間しかない。
-行かないで、と言ったがダメだった-
-父は遠ざかり、そして振り返り、私のところに戻って来て私を抱きしめてくれた-
-そして私を慰めようとして、その時お小遣いをくれた-
それでBarbaraはZanを買ったのだ。それからZanは、どこへ行くにもいつも私と共にある、とBarbaraは書いている。
-ずっと後に、自分が食べるだけでなく、Zanが血圧に害を成すということを全く知らなかったので、友達と言う友達みんなにもどんどんあげた-
-(Barbara自身を投影させた)Lily-Passionも当然バッグをZanで一杯にしていた-
-自覚は無かったが、私はこの時の父との幸福な時間をずっとずっと求めつづけてきたと思う。しかしこの父と子供の関係はその後二度と復活することは無かった。-
-なのに私はその後長い間ずっと、この時の思い出、そして父に対する恐れ、軽蔑、憎悪、どうしようもない絶望などが入り混じった思い出を、ずっと持ち続けるのだった。20年後Nantesで父の死を引き受けた時、再びこの複雑な感情に捉えられた。-
 (以上参照「Il etait un piano noir...」 P.21&P.22 )

2007年11月4日France 2「The ou Cafe」で放送されたBarbaraの特別番組でCatherine Ceylacが取り出したZanを見て、Roland Romanelliが「それだ、それだ」と指をさして笑いながらBarbaraのZanを懐かしんでいた。それほどBarbaraとは切っても切れない「お菓子」だったのだろう。

1942年父が一時復員し、Tarbesの5 rue des CarmesでJeanne大叔母と共に家族全員の生活が復活した。
勉強の出来る男の子の兄Jeanは、母や、特に教育熱心なJeanneに溺愛され、一方勉強の出来ない女の子のBarbaraはほとんど無視され、劣等感と屈辱に苛まれる。父親に対しては次第に恐怖心を募らせてゆく。二人きりの時だけしか、決して優しくはないからだ。父が繰り返して言う。お母さんはお前よりJeanが好きなんだよ。Barbaraはその通りだと思い、それゆえに深く苦しむ。父が明らかに妙な態度で孤立したBarbaraに接近してくる。兄のJeanに守って欲しかったのだけれど、家の中でJeanが占める立場の優位性ゆえにJeanには近寄りがたかった。
それでもある日兄の部屋に入っていった。兄はZanを口にしていた。Zanが欲しくなったBarbaraは何を思ったのか、自分の大事なBaigneur(ベビー人形)とたった3個のZanを交換してしまう。
-Je vende mon enfant pour trois bouts de zan!-
(私の子供を私はたった3個のZanと交換した!)とBarbaraは書いている。
BarbaraはZanの中に優しかったあの日の大好きな父の姿を認めたかったのだろう。
Barbaraの窮地を知らない兄は、守るどころか人形を奪い、その交換を知ったJeanneは「Zanと人形を交換するなんて、この子は頭が空っぽね」とあざ笑い、子供として兄と同等の愛を望んだBarbaraの心の透きに、父親は生身の男として、11歳の娘に女を求めてきたのだった。
 (以上参照「Il etait un piano noir...」 P.25~P.29 )
//////////////////////////

Barbaraは生涯にわたって天文学的量のZanを食べた。常に予備のZanを手提げカバンにしのばせていて、それを切らすことはなかった。
90年代になるとBarbaraの血圧はZanの副作用で異常に上昇し、医者からそれを口に入れることを禁止された。幻の父との幻想の絆であり続けていたZanもついに、毒薬と成り果てたのだ。
(以上参照「Barbara Portrait en clair-obscur」 P30& P31 par Valerie Lehoux )
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